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クリームを使用して革をお手入れした際の効果と方法

2023.04.21 【革の豆知識】

革製品を長く愛用するためには、革用のクリームを用いた定期的なお手入れが大切です。とはいうものの、クリームにはどのような効果があって、どういう方法で使用するのかわからない方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、革製品のお手入れをしたいと思っている方のために、クリームを使用した際の効果と方法についてお伝えします。また、お手入れが不要な革についても書いていますので、ぜひ参考にしてください。

-クリームを使用して革をお手入れした際の効果-

革製品をお手入れするときにクリームを使用すると、いったいどのような効果を得られるのでしょうか。

ここでは、クリームを使用することで得られる3つの効果をわかりやすく解説するとともに、クリームの種類と役割についてもお伝えします。革製品を長持ちさせる基礎知識として、ぜひ参考にしてください。

革表面の保護

革用クリームの主な効果は、表面の保護です。革製品は時間が経過すると、水分や油分が抜け落ちて乾燥し、表面がひび割れてしまいます。

そのような事態を防いで、革製品を美しく長持ちさせるために、クリームを使って効果的にお手入れをしましょう。

抜けた油分の補給

革用クリームは、油分の補給にも効果があります。革製品は、どんなに丁寧に使っていても揮発が原因で、少しずつ油分が抜けていきます。定期的にお手入れをして、適度な油分を与えておくと、表面にできた油膜が水分を弾き、シミや汚れを防いでくれます。

しかし、頻繁に油分を補うと表面がベタついてしまい、カビが発生するので、加減には注意しなければなりません。また、乾燥してひび割れが起きると、元に戻すのは難しい状態になるので、革の状態を見ながらちょうどいい頻度でお手入れすることが大切です。

革が持つ美しさの保持

革用クリームは、表面の保護や油分の補給のほかに、革が持つ美しさを保ち続けるという効果があります。「乳化性クリーム」「油性クリーム」「デリケートクリーム」の3種類があり、効果の現れ方はそれぞれ異なります。

「どれを使えばいいのだろう?」と迷ったときは、乳化性クリームを選ぶといいでしょう。なぜなら、乳化性クリームには、水、オイル、ワックスが含まれており「加湿」と「保湿」の両方の効果があるからです。ひとつのクリームでお手入れを済ませたい方にもおすすめです。

-クリームを使用して革をお手入れする理由-

革製品をクリームでお手入れする理由は、汚れや傷みを防ぎ長持ちさせるのはもちろんですが、エイジング(経年変化)を楽しむという理由もあります。

エイジング(経年変化)とは、使い込むほどに革の雰囲気が変化していく様子をいいます。これは天然素材である本革ならではの特長で、色、形、ツヤ、なめらかさが時間とともに変化し、革に特有の味が出てきます。

愛用する革製品の色や質感が、自分のお手入れによりだんだん深みを帯びてくると、より愛着がわいてくるのではないでしょうか。「どんなエイジングをしていくのだろう」と想像しながらお手入れをするのが、革製品を扱う醍醐味なのかもしれません。

-クリームを使用して革をお手入れする方法-

革を長持ちさせて美しくエイジング(経年変化)していくには、正しい方法でお手入れをしなければなりません。しかし、いざお手入れをしようと思っても、どのような手順で行えばいいのかわからないとお悩みではないでしょうか。

ここからは、クリームを使用したお手入れ方法を、順を追ってわかりやすく解説していきます。基本的なお手入れの方法を知っておくと、シミや傷を防げるほか、時間をかけてエイジングを楽しめるでしょう。

中身を空にしてほこりを落とす

まず、お手入れをするアイテムの中身を空にし、革用のブラシで表面のほこりを落とします。縫い目の部分もていねいに落とすようにしましょう。このときに使うブラシは、表面を傷つけない、柔らかめの馬毛ブラシがおすすめです。

ブラッシングのあとは、革の表面に油分が浮き出てくる場合もあるので、柔らかい布で拭き取るのを忘れないようにしてください。また、汚れがひどい場合は、かたくしぼった濡れタオルでやさしくゆっくりと表面を拭き取ります。

クリームを塗り込む

汚れやほこりを落としたら、メンテナンス用のクロスか柔らかいきれいな布で、表面にクリームをすばやく塗り込んでいきます。

塗りすぎるとシミになってしまうので、少量ずつを全体に薄く塗るようにしてください。適量を判断するポイントは、乾いた手で触ったときにしっとりした感触があるかどうかです。

初めて使用するときは、目立たない場所で試してから全体になじませるようにしましょう。また、有色の布は色移りする可能性があるので、白地のものを選ぶようにしてください。

革の表面に、引っ掻いた傷や細かな傷がある場合は、クリームを塗り込んでからていねいにブラッシングすると目立たなくなります。

塗ったクリームを乾かす

クリームを塗ったら、革に成分をなじませるため、風通しのよい陰干しで30分〜1時間程度乾かします。早く乾かすためにドライヤーを使うと、水分や油分がなくなりひび割れの原因になるので、ゆっくり自然乾燥させましょう。

クリームが乾いたら乾拭きする

最後に、表面に残ったクリームを取り除くように、柔らかくきれいな布でやさしく乾拭きします。ていねいに乾拭きしてあげると、革は自然な美しい表情になります。

ツヤが足りないと感じる場合や、カサつきが気になる場合は、クリームを追加して塗り込むとよいでしょう。

防水スプレーを吹きかける

仕上げに防水スプレーを吹きかけます。屋外など換気のいい場所で、20cmほど離して全体にかけます。表面がうっすらと濡れる程度にスプレーしたら、風通しのよい日陰で乾かしてください。

乾くまでの時間はだいたい15分くらいを目安にし、表面を触ってサラッとしていたらよいでしょう。この工程を2回繰り返すと、より防水効果が上がります。

-お手入れが不要な革-

一般的な革製品は、今まで述べてきたようにクリームを使ったお手入れが必要です。しかし「松阪レザー」を使用したバンビの製品は、お手入れの必要がありません。

なぜなら、松阪レザーには油分が多く含まれており、使っていくうちにゆっくりと油がにじみ出てくるからです。

松阪レザーを使用しているバンビの製品は、お手入れをしなくてもしっとりした質感を保ち、表面にはツヤがあって、美しい表情をしています。水分や汚れが付着しても柔らかい布で拭き取るだけでよく、それ以上のお手入れは必要ありません。

加工が難しいため、ほとんど世のなかに出回っていませんが、バンビだけの技術で作る松阪レザーの製品は、実際に手に取って触れた人々を魅了し続けています。

こちらのページでも松阪レザーを用いたブランド「さとり」について、詳しく紹介します。

まとめ

ここまで、クリームを使用して革をお手入れした際の効果と方法をお伝えしました。また、エイジング(経年変化)や、一般的なお手入れが不要な松阪レザーについても紹介しました。

革製品はお手入れをしなければ、表面にひび割れやシミができてしまいます。革のことをきちんと考えてお手入れすると、革本来の魅力が引き出され、美しく長持ちするでしょう。

お手入れそのものの工程や、時間をかけたエイジングを楽しむのが、革製品を持つ醍醐味です。ぜひ、自分の好みに合った革製品を選び、適切なタイミングでお手入れをして、味のあるアイテムに仕上げていってください。

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