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エイジング(経年変化)は、革製品を使用する喜びのひとつでしょう。オイルレザーはほかの革製品よりも経年変化が早く、質感が移り行く味わいを早い段階から楽しめる革製品といえます。
オイルをたっぷりと浸透させた革は、独特のしっとりとした質感と、上品で艶やかな光沢が特徴です。そんな経年変化が楽しめるオイルレザーですが、革独自の手触りを長く楽しむためには、日頃のお手入れが大切です。
自分好みな風合いに変化したと思っても、お手入れをさぼってしまうと、オイルレザー独特の魅力を損なってしまう可能性があります。今回の記事では、経年変化が楽しめるオイルレザーのお手入れ方法や、定期的にオイルを染み込ませるべき理由などについて紹介します。
-オイルレザーの経年変化はどのくらい?-
オイルレザーと一概にいっても、含まれているオイルの量は種類によって異なります。オイルが多く含まれる革は、早いものだと約1か月、オイルを多く含まない革でも6か月程度で、経年変化を楽しめるでしょう。
オイルレザーは、使えば使うほど革に含まれるタンニンが日光に当たり、酸化することで、淡褐色に近づきしっとりとした質感に変化します。
オイルを多く含んでいるため、経年変化を起こしやすく、世界で自分だけの革に育てる早さが、ほかの革製品よりも早いのが特徴です。
また、見た目の変化だけに注目されがちな経年変化ですが、革本来の性能も傷やカビに強くなるなど変化していきます。汚れやキズを気にせずに、風合いや色味の変化を楽しめるのもオイルレザーならではの魅力といえるでしょう。
-オイルレザーのお手入れ方法-
オイルレザーは、皮の表面がオイルでコーティングされているので、お手入れが簡単なのも魅力です。しかし、ほかの革製品よりも汚れや傷がつきにくくなっていますが、お手入れが不要なわけではありません。
オイルレザーのお手入れ方法は、ブラッシングとクリームでの保湿です。きちんとお手入れをすることで、経年変化を楽しみ、よい状態を保つことができます。
ブラッシング
オイルが染み込んだオイルレザーは、表面にほこりがつきやすくなります。ほこりが気になる場合は、お手入れ用のブラシで表面をブラッシングしましょう。
ほこりや汚れを放置してしまうと、ほこりが革の油分を吸って乾燥が進行したり、クリームを塗った時にさらに汚れがついたり、カビなどの原因になります。定期的にブラッシングをし、小さい汚れやほこりを取り除くことが大切です。
クリームでの保湿
もともと油分を多く含んでいるオイルレザーは、一般的な革製品と比べて、こまめにクリームやオイルで保湿する必要はありません。
しかし、オイルを含んだ状態が完成形のオイルレザーに乾燥は大敵です。オイルレザーの独特の風合いや色味を楽しむためにも、定期的にオイルやクリームなどで保湿成分を補うことが大切です。
見た目の乾燥が気になるときや、汚れをしっかりと落としたいときのほか、経年変化を楽しみたいときなどにクリームの使用をおすすめします。その際、クリームをつけすぎるとカビやシミなどの原因にもなるので、適量を心がけましょう。
-オイルレザーにオイルを染み込ませる理由-
オイルレザーにオイルを染み込ませる理由はさまざまですが、主に以下の3つが挙げられます。
・ 防水性を上げるため
・ 革を柔らかくするため
・ 風合いをよくするため
それぞれを詳しく解説します。
防水性を上げるため
理科の実験などでもあるように、水分と油分は混ざることはありません。その原理と同様に、オイルでコーティングされた革製品は、若干ですが防水性能が高くなります。
また、革にオイルを染み込ませることで、汚れやカビが付着しにくくなるメリットもあるため、過酷な状況で使用される登山靴やワークブーツなどによく愛用されています。
革を柔らかくするため
オイルレザーはなめしを施す際に、オイルをたっぷり染み込ませ、革に柔らかさを増しています。しかし、その柔らかさを保つためにも繊維内の油分を補い、定期的にオイルやクリームで保湿成分を補うことが大切です。
オイルを染み込ませることで、革は柔らかく、しなやかさをもちます。一般的に、革は細かい繊維が重なって層を作っており、人間の肌と同じように内側から乾燥してしまいます。乾燥すれば、繊維内がカサカサになり、ひび割れを起こしてしまうのです。
そのため、素材として柔軟性が必要な場合は、オイルを染み込ませて柔らかさを保つ必要があるでしょう。また、新品の革製品は使い込むうちに柔軟性が増し、しなやかさが出てきますが、オイルを染み込ませることで、より早く柔らかい状態にできます。
風合いをよくするため
オイルをたっぷりと染み込ませた革は、しっとりとした手触りと艶やかなつやが魅力です。普段から手で触れる機会の多い革製品は、使うだけで全体が保湿され、風合いや色味が生まれやすくなります。
それでも、オイルでお手入れすることで汚れにくく、耐久性に優れつつ美しい状態を保つことができます。時がたつほどに愛着がわき、さまざまな表情を見せてくれるオイルレザー独特の風合いに、はまってしまう人が多いのもうなずけます。
-オイルレザー以外にもおすすめの革-
オイルレザー以外にも多くの魅力的な革製品があります。ここでは、さまざまな革製品のなかからおすすめの3点をご紹介します。
・革本来の風合いが楽しめるヌメ革
・艶やかな色味が楽しめる顔料仕上げの革
・経年変化で美しい艶を楽しめる松阪レザー
ヌメ革
ヌメ革もオイルレザー同様、植物性タンニンでなめされますが、なめすだけで表面加工を行いません。そのため、革製品のなかでも最も革らしく、革本来の自然な手触りや、匂いを感じ取れる革といえるでしょう。
使い込んでいくうちに、本革らしい経年変化が楽しめますが、無塗装・無着色のため汚れやすく、こまめにお手入れする必要があります。しっかりとお手入れすることで、タンニン成分が酸化し、美しい淡褐色に変化していきます。
顔料仕上げの革
革の表面を顔料でコーティングし、着色をした顔料仕上げの革もあります。顔料でコーティングしているため、キズや水分にも強く、手入れが簡単なのも魅力です。また、作成する手間もそこまでかからないため、比較的安価で購入できます。
しかし、皮本来の質感を楽しむことができないため、経年変化を楽しみたい人には不向きの素材と言えるでしょう。逆に、新品同様の鮮やかな色味を楽しみたい人にとっては、顔料仕上げの革がおすすめです。
松阪レザー

松阪レザーは、加工処理に高度な技術が必要です。もともと油分を多く含んでいる松阪レザーは、デリケートで、加工が難しいと言われています。
その貴重な松阪牛の原皮を扱えるのは、世界でバンビのみとなり、あまり世に出回っていません。そのため、松阪レザーというものを初めて聞いた方も多いのではないでしょうか。
松阪レザーの魅力は、表面のつやつやとした滑らかさと手触りのよさ、経年変化から生まれる美しい艶です。熟練の職人が作り上げた特別な松阪レザーは、革製品の魅力がたくさん詰まっています。

また、松阪牛は食肉だけでなく、皮革にも個体識別ナンバーが刻印されています。自分が持つ革製品が、どの牛から取られたものなのか知ることができるのも松阪レザーの魅力といえるでしょう。
最小限のお手入れで美しい艶が楽しめる松阪レザーについて、こちらでも紹介します。
-まとめ-
革製品は使えば使うほど、経年変化で味がでて愛着がわいてくるものです。そんなエイジングを早く楽しめるのも、オイルレザーの魅力のひとつでしょう。
オイルレザーは、独特の風合いや色味はもちろん、耐久性もあり使用しやすい革製品です。愛着のある革製品を長く愛用するためにも、定期的なお手入れを行いましょう。革製品は、乾燥するとひび割れを起こしてしまうため、オイルやクリームでの保湿ケアが欠かせません。
しかし、バンビだけが扱える松阪レザーは、そうしたお手入れが基本的に不要です。強いてお手入れ方法を挙げるとしたら、汚れや水分が付着したときに、柔らかい布で優しくふき取ることです。
もともと多くの油を含んでいる松阪レザーは、摩擦や手の体温などの外的要因がかかることで、その油分が少しずつ表面に浮き出し、美しい独特の艶が生まれます。お手入れは面倒に感じるけれど、経年変化を楽しみたい場合は、松阪レザーを検討してみるのもよいでしょう。