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スムースレザーと牛革の違いは何?メリットやデメリットは?

2023.04.19 【革の豆知識】

革製品はさまざまな動物の革が使われ、豊富な種類があります。なかでも牛革は人気が高く、一般に広く流通しているものとしても知られています。

牛革の製品をご覧になっていると「スムースレザー」との表記を目にすることがあるでしょう。ではスムースレザーは、一般的な牛革とどのような点が異なるのでしょうか?本記事では牛革とスムースレザーの違いのほか、スムースレザーを用いるメリットやデメリットも紹介します。

-スムースレザーとは-

まずは、スムースレザーについてご紹介します。スムースレザーとは、起毛や凹凸のない、フラットでなめらかな革の総称です。

スムースレザーの素材となる動物の種類はさまざまで、豚や羊、牛の革など、多岐にわたります。牛革を用いる場合は、仔牛から成牛まで幅広く使用されます。

スムースレザーの「スムース」は英語の「smooth」からきており、革の表側を使用して作られます。その名前のとおり、すべすべした手触りが特徴でしょう。ちなみに、革の裏側を起毛させたものは、スウェードレザーとして扱われます。

-スムースレザーと牛革の違い-

スムースレザーがなめらかな質感の革全般であるいっぽう、牛革は牛から作られた革全般を指します。スムースレザーは革の仕上がりの状態による総称で、牛革は素材となる動物による総称と認識すれば、間違いないでしょう。

牛革の種類は多く、生育年数や雌雄によって細かく呼び方が分けられています。ほかにも使用する部位次第で丈夫さや硬さ、厚さなどが異なり、ひと口に牛革といってもその質感はバラエティに富んでいます。

牛革からつくられるスムースレザーの特徴は、透明感のある美しい仕上がりです。バッグや財布など、ファッションアイテムにも用いられ、安定した発色も人気を集めています。

-スムースレザーの種類-

スムースレザーは革の仕上がりにおける総称と説明しましたが、スムースレザーのなかには大きく分けて「銀付き革」「ガラスレザー」の2種類があります。それぞれ詳しく説明しますので、どのような特徴があるのか比較してみましょう。

銀付き革

銀付き革とは、革の銀面を使ったものです。革の一番外側の表面を「銀面」と呼び、この銀面の傷が少なく、きれいな状態のもののみが銀付き革として使用できます。そのため生産数に限りがあり、高価になる傾向があります。

色ムラや傷などを目立たなくする磨き処理などは行わず、キメやしわなど、動物の革本来の風合いを活かしているのが特徴です。素材や仕上げ方によって質感は千差万別ですが、革に銀面がついていれば、それらはすべて銀付き革と判断されています。

仕上げには染料を使ったアニリン仕上げのほか、セミアニリン仕上げや、ボックスカーフと呼ばれる技法が多く使われています。

ガラスレザー

ガラスレザーは、宝石のようなツヤ感のある革です。ガラス張り革とも呼ばれており、なめしたあとの革をガラス板などに張り付けて乾燥させる工程から、そのような名前がついています。乾燥後に銀面を磨き、合成塗料や顔料などの仕上げをしてから、ツヤ出しを行うとガラスレザーとなります。

加工を施すことによって素材の個体差を一定にならし、革にあった毛穴や汚れ、傷なども目立たなくさせ、なめらかな表面をつくりだしているのです。銀付き革との見た目の違いは、作り物のような感覚を抱かせることです。エナメルにも近く、革製品ならではのエイジングは楽しめません。

しかし銀付き革と比べると安価で、難しい手入れも必要ないため、多くの方からカジュアルな革製品として選ばれています。また最近では技術が進み、革のエイジングを楽しめるガラスレザーも生まれています。

-スムースレザーのメリットとデメリット-

では、スムースレザーの革製品を購入する際、知っておきたいメリットやデメリットとはなんでしょうか。銀付き革とガラスレザー、それぞれの特徴を踏まえたうえでチェックしていきましょう。

メリット

銀付き革は柔軟性があり、やわらかく曲がりやすいため、窮屈さを感じさせません。また最大の特徴でもある銀面は、世界にふたつとない模様を持つだけでなく、エイジングによって増していく深みを楽しめるでしょう。経年変化による光沢や質感は、革製品の醍醐味といえます。

一方、ガラスレザーのメリットは、耐久性がある点と手入れの楽さです。合成樹脂と顔料で銀面をコーティングしているため、雨や汚れにも優れた強さを発揮します。紳士靴にもよく使われていることから、その丈夫さと機能性の高さがうかがえるでしょう。

デメリット

銀付き革は表面がほとんど加工されていないため、どうしても耐久性や耐水性が弱くなってしまうのは避けられないデメリットでしょう。

ガラスレザーのデメリットは伸びにくいことですが、言い換えれば、型崩れしないというメリットにもつながるでしょう。一度シワが入ると直りにくい点には、注意が必要です。

スムースレザー全体の話でいえば、銀付き革とガラスレザーはどちらも傷つきやすい革製品といえます。ツヤのあるなめらかな見た目が特色であるぶん、傷みが目立ちやすいでしょう。

-スムースレザーの経年変化の特徴-

革製品の魅力といえば、エイジングとも呼ばれる経年変化を楽しめる点でしょう。スムースレザーの場合、銀付き革か、ガラスレザーかによって、経年変化の風合いがまったく異なります。

銀付き革はクリームやオイルでお手入れをしていけば、革の質感がどんどんやわらかくなってきます。長く使うにつれてツヤもでてくるので、上品な経年変化を楽しめるでしょう。

いっぽう、ガラスレザーは経年変化がわかりにくいという特性を持っています。これは合成樹脂と顔料で革がコーティングされており、汗や皮脂を通しにくく、外的要因による変化が起きにくいためです。

-限られた製革所でしか作り込めない松阪レザーとは-

牛革には、スムースレザーのほかにもさまざまな種類の革があります。経年変化を楽しめる革製品が欲しいものの、手入れなどの手間はあまりかけたくないとお考えなら、高級和牛である松阪牛の革を使用した「松阪レザー」の商品がおすすめでしょう。

松阪レザーの魅力は、なめらかでツヤのある表面と、手触りのよい質感です。松阪牛の肉や革の特長として、融点が低く上質な油脂である不飽和脂肪酸が多く含まれている点が挙げられます。

毎日の使用のなかで、この豊富な油分が徐々に浮き出すことによって、一般的な革製品で必須とされるオイルやクリームなどを用いたお手入れを減らしながらも、まるで丁寧に拭き上げたかのように上品な光沢を生むのです。

しかし松阪レザーは、その油分の多さから加工が難しく、ごく一部の製革所しか取り扱えません。世界ではバンビだけが松阪レザーの原皮を使用できることから、熟練した製革技術の高さはもちろん、素材に妥協を許さない革製品づくりへのこだわりもうかがえるでしょう。

松阪レザーを使用した商品ラインナップは、こちらからご確認ください。

-まとめ-

牛革とスムースレザーの違いには、取り扱う動物の革の種類のほか、質感も含まれています。スムースレザーは銀付き革とガラスレザーに大きく分けられており、どちらにもメリットとデメリットがあるため、スムースレザーのなかでも自分の好みを見極める必要があります。

たとえば耐水性を優先して革製品を選ぶならば、ガラスレザーがよいでしょう。銀付き革は、革製品ならではのエイジングを楽しめます。楽にお手入れできる革製品が理想であれば、松阪レザーを視野に入れてみましょう。

本革製品の大きな魅力は、高級感がありながら長持ちする丈夫さと、経年変化による味わいです。長い期間をともに過ごすうちに、自分だけの物語が詰まった、世界で唯一無二の一品となっていくでしょう。本記事を参考に、ぜひお気に入りの商品を探してみてください。

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