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牛革にはどんな種類がある?それぞれ魅力の異なる10種類を紹介

2023.04.20 【革の豆知識】

革製品のなかでも牛革は、長年多くの人々から愛され、まだ本革に触れたことのない方からも憧れや興味の対象となっています。しかし牛革とひと口に言ってもさまざまな種類があり、それぞれ個性的な魅力を備えていることをご存じでしょうか。

牛革の製品をどのように選んでよいのかわからないとお悩みの方に向けて、本記事では牛革の種類を詳しく説明します。それぞれの特徴や魅力を知り、ご自身に最適な牛革製品選びにお役立てください。

-牛革の種類-

牛革の特徴は、耐久性があることです。また、あらゆる革のなかでも最も加工しやすく、多くのニーズに応えられる、使いやすい素材としても知られています。

それゆえに流通量も多く、革製品のほとんどは牛革で作られています。牛革は財布だけでなく、バッグや靴、インテリア用品にも使われるほど、日々の生活に根付いているのがわかるでしょう。

牛革を牛からとる際は、主に食肉用などとして育てられた牛を対象としており、レザーを収穫するために育てられる牛というものはいません。そのため、加工される時点での生育状態や雌雄によって、牛革の質は大きく左右されます。

そういった理由から、牛革には豊富な種類があり、グレードや部位によって厚さや強度、耐久性や風合い、硬さなどが大きく異なります。これらの違いは用途によって使い分けられるほか、たとえば同じ牛革財布であっても、価格帯に大きな差がつく理由になります。

本記事では、10種類の牛革について特徴や魅力を紹介しますので、どの種類が自分の好みに合っているのかも含めてチェックしてみてください。

ハラコ

ハラコは、胎児から生後間もない期間までの、ごく幼い子牛の革のことを指しています。死産してしまった子牛や、出産前に死亡してしまった雌牛が身ごもっていた子牛の革が使われます。そのため大量生産ができず、市場に出回ることはほぼない、非常に希少価値の高い牛革です。

短い毛が生えたままレザーとしてなめされるのが特徴で、高級な素材としても知られます。一般的にハラコとして流通しているものは、ポニーの革で代用されているケースもあります。

カーフスキン

カーフスキンも子牛の革を指しますが、こちらは主に生後6ヶ月以内の子牛が使われています。ハラコよりも丈夫で、牛革のなかでは最も上質とされています。

希少価値も高く、海外のハイブラインドでも使われるほどの人気を誇ります。抜群の手触りを備えたカーフスキンは軽くてやわらかく、キメ細かく美しい銀面が魅力です。

キップスキン

キップスキンは、カーフスキンよりも若干厚めの皮です。こちらは生後1年以内の子牛の革を使っており、カーフスキンの次に上質な牛革とされています。

美しくなめらかな革質は、高級ブランドでもしばしば用いられています。しなやかさもあわせ持ったキップスキンは、人の手になじみやすいのも魅力のひとつでしょう。

ヘアカーフ

ヘアカーフは、カーフスキンよりも希少価値の高い牛革です。カーフスキンと同様に、生後6ヶ月以内の子牛の革が使われますが、こちらは子牛ならではの毛の風合いを残しながらレザーに仕立てるのが特徴です。

カーフスキンよりも流通量が少ないため、珍しい革としても知られています。その特徴となる、しっとりやわらかくキメ細やかな毛から、最高品質と呼ばれることも多く、心地のよい感触が魅力でしょう。

ステアハイド

ステアハイドは、一般的に流通している革です。生後2年を過ぎた雄牛の革を使っており、厚みが等しいため、さまざまな用途に広く使われています。

生後3ヶ月〜6ヶ月の間に去勢されているため、去勢されていないものと比べてみると、やわらかさを感じられるでしょう。食用として育てられている牛からとられるので、流通量が多く一般に出回りやすい革といえます。

カウハイド

「カウハイド」は、出産をしたことのある雌牛の皮です。生後2年は過ぎており、カーフスキンやキップスキンには金井昌年が、やわらかい皮をもっています。丈夫さに加え、やわらかさと繊細さも併せ持った特徴があります。

ブルハイド

「ブルハイド」は生後3年以上の牛革です。ステアハイドとは異なり、去勢はされていません。丈夫さと厚さにおいて、牛革のなかでは最も高いでしょう。

やわらかさはないことから、バッグや衣類に用いられることはありません。オス同士の決闘が多いせいか、傷のある皮が多く牛革をワイルドに加工したい場合には向いているかもしれません。

スムースレザー

「スムースレザー」は透明感のある牛革です。カラーリングの方法によって仕上がりの透明感が変わりますが、発色は安定しています。財布やバッグに使われることの多い牛革としても知られ、お手入れも簡単です。丈夫な革なので、擦れ傷などにも強い特徴があります。

これらの特性から、スムースレザーはファッションアイテムや家具、バッグ、靴などの様々な製品に広く使用されています。スムースレザーは比較的高価ですが、手入れをしっかりと行うことで長期間使用することが可能です。

スプリットレザー

「スプリットレザー」とは、革製品の素材の一種で、革を加工する際に表面と裏面に分かれた部分を利用して作られます。スプリットレザーは、厚みが均一でない部分や傷のある部分を除去することで、革をより使いやすくするために生まれた素材です。

スプリットレザーは非常に柔らかく、しなやかな質感が特徴です。そのため、衣服や小物類、家具のような様々な製品に使用されます。また、スプリットレザーは通気性が良く、汚れや湿気に強いため、靴やジャケットのような防水性が必要な製品にも使用されます。

スプリットレザーは、革を使用するよりも安価であり、革のような高級感を持っています。ただし、革に比べて耐久性が低いため、製品を長期間使用する場合は注意が必要です。

また、スプリットレザーは表面がつるつるしているため、革に比べて色落ちがしやすいという特徴があります。ですが、スプリットレザーは手入れが簡単で、水や布で拭くだけで汚れを落とせるため、日常的に使う製品に最適です。

松阪レザー

「松阪レザー」は松阪牛からとれる牛革です。松阪レザーの革は、非常に手触りが良く、きめ細かな質感です。これは松阪牛には雌牛しかいないことが理由となっています。また、経年劣化が進むにつれツヤが生まれるのが、松阪レザーの大きな特徴といえます。革には油分が多く含まれており、この油分が手の体温などで革に溶けだすことで美しいツヤを生み出しています。

この特性から、「バンビ」では手にとって使う機会の多い財布や名刺入れなどの製品に使用されています。

松阪レザーは松阪市周辺で生まれ育った牛を使用しているため、地元産業の支援にもつながっています。松阪牛の革を卸してもらえるまで、「バンビ」が松阪食肉公社に何度も足を運び交渉したことで実現しました。そのため、松阪レザーは世界で「バンビ」だけが取り扱っている貴重な牛革です。

松阪レザーについて、こちらのページで詳しく紹介しています。

-まとめ-

牛革の種類を知れば、自分にどのような革製品が合っているのかがわかるようになります。それぞれの種類で特徴や魅力が少しずつ異なるので、牛革の風合いも含めて検討してみるとよいかもしれません。

牛革は一般に出回っていることの多いものですが、なかには高級ブランドが用いるような希少価値の高い革もそろえられています。すべての牛革の種類を覚えるのは大変かもしれませんが、松阪レザーのようにより高度な技術が求められるような牛革もあります。

油が多く含まれていればお手入れも楽になるので、初めて革製品を買う人も安心して使えるでしょう。革製品はお手入れをすれば、長く使える製品となります。自分に合った牛革を見極めてください。

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